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国際会議参加報告(台湾:GCTF台北会議)

  • 執筆者の写真: 研究会 日米台関係
    研究会 日米台関係
  • 6月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:6月26日

本研究所上席研究員の佐々木が、2026年3月31日~4月2日に行われたGCTF台北会議(サイバー・レジリエンス協力の新展開)に主催者招待により参加・登壇したので以下のとおり報告します。


はじめに

2026年3月31日から4月2日にかけて台北で開催されたGCTF(Global Cooperation and Training Framework)国際ワークショップ「Building Cyber Resilience: Policy, Business, Innovation」は、サイバー安全保障分野における民主主義諸国の協力強化を目的として実施された。台湾外交部、デジタル発展部、米国在台協会(AIT)、日本台湾交流協会、英国在台弁事処、オーストラリア弁事処及びカナダ駐台北貿易事務所の共催により開催され、29か国から130名以上の政府関係者、研究者及び企業関係者が参加した。  

本会議はサイバーセキュリティに関する、単なる技術的な交流ではなく、近年深刻化する中国・ロシア・北朝鮮等によるサイバー攻撃、重要インフラへの脅威、AIを活用した攻撃手法の高度化を背景として、「国家レベルのサイバー・レジリエンス構築」を主要課題としていた点に特徴がある。  

本報告では、会議の主要論点を整理するとともに、日本から登壇した本研究所上席研究員の佐々木の発表内容についても考察する。



1 GCTFの戦略的意義

GCTFは2015年に台湾と米国によって設立された能力構築プラットフォームであり、日

本は2019年以降、正式パートナーとして全ての主要活動に参画している。GCTFの特徴は

、台湾を国際社会の実務協力ネットワークに組み込むことで、民主主義国家間の実践的協

力を促進する点にある。  

近年のGCTFは、

◎ エネルギー安全保障

◎ 通信インフラ強靱化

◎ 災害対応

◎ 情報戦・認知戦対策

◎ サイバー防衛

といった安全保障色の強いテーマを扱う傾向を強めている。特に2026年は1月に通信イン

フラ強靱化、3~4月にサイバー防衛を扱っており、台湾有事を念頭に置いたレジリエンス

強化が背景にあると考えられる。  

2 会議で示されたサイバー・レジリエンスの概念

開会式では台湾デジタル発展部の楊佳玲政務次長及び英国在台弁事処のWayne Ives副代

表が挨拶を行い、続いて台湾国家安全会議顧問の李育杰が基調講演を実施した。  

李顧問は「国家資通安全戦略2025」を紹介し、

◎ 国家サイバー防衛能力

◎ 官民連携

◎ AI時代の脅威対応

◎ 重要インフラ保護

◎ 国際協力

を柱とする台湾の安全保障政策を説明した。  

今回の会議で特に注目されたのは、「防御」から「レジリエンス」への概念転換である

従来のサイバーセキュリティが侵入阻止を重視したのに対し、レジリエンスは攻撃を受け

ることを前提に、

◎ 被害の局限化

◎ 機能維持

◎ 迅速な復旧

◎ 社会全体の継続性

を重視する考え方である。  

これはロシア・ウクライナ戦争で確認されたハイブリッド戦の教訓を反映したものと評

価できる。

3 佐々木上席研究員登壇のセッションの内容

日本からは本研究所上席研究員の佐々木(富士通ディフェンス&ナショナルセキュリテ

ィ安全保障研究所主席研究員)が登壇した。サイバー・レジリエンスに関する官民協力の

セッションにおいて、「サイバーセキュリティ・レジリエンス強化のための知見と取組」

について発表を行い、各国代表とディスカッションを行った。

佐々木は海上自衛隊の元海将補であり、ロシア軍事、安全保障、情報戦、サイバー戦及び

ハイブリッド戦を専門としている。

佐々木の専門分野を踏まえると、今回の発表は単なる技術的サイバー防御ではなく、


◎ 国家安全保障

◎ 軍民連携

◎ 情報戦対策

◎ ハイブリッド戦への対応

◎インフラ防護

を含む包括的なレジリエンス概念に基づくものであった。  

特に注目すべきは、日本が現在推進している「能動的サイバー防御(Active Cyber

Defense)」との関連である。




日本では2020年代後半に入り、

◎ 官民情報共有

◎ サイバー脅威インテリジェンス

◎ サプライチェーン防護

◎ 重要インフラ保護

の強化が進められている。

佐々木の発表は、こうした日本の経験を台湾及び参加国と共有する役割を果たしたと評

価できるだろう。

4 国際共同防衛体制の構築

会議では以下のテーマが重点的に議論された。

(1)脅威情報共有

国家間でサイバー攻撃情報を共有し、早期警戒を実現する仕組みが議論された。参加者

は脅威モデリングやインテリジェンス共有の重要性を強調した。  

(2)AI駆動型サイバー防衛

AIを利用した脅威検知、自動分析及び防御能力向上が議論された一方、生成AIを利用し

た攻撃手法の高度化への懸念も示された。  

(3)ポスト量子暗号

量子コンピュータ時代を見据えた暗号技術の移行が重要課題として取り上げられた。  

(4)サプライチェーン防護

半導体や通信機器を含むグローバル供給網の保護が国際安全保障上の課題として認識さ

れた。  

5 DSETによるサイバー机上演習

今回の会議で最も実践的なプログラムは、台湾のシンクタンクである Research Institute

for Democracy, Society and Emerging Technology(DSET)によるデジタル・レジリエンス

机上演習であった。

同演習では、


◎ 政府サービスネットワーク

◎ 通信インフラ

◎ エネルギー施設

への複合的サイバー攻撃が想定された。参加者は台湾政府、同盟国政府及び民間企業の役

割を担当し、危機対応を検討した。  

演習シナリオはウクライナ戦争や台湾に対する継続的なサイバー攻撃事例を参考に設計

されており、台湾有事を想定した危機管理訓練としての性格を有していた。  

おわりに

2026年GCTF台北会議は、サイバーセキュリティ分野における国際協力を深化させるだ

けでなく、インド太平洋地域の安全保障環境の変化に対応するための実践的な枠組みとし

て重要な意味を持つ。

特に今回の佐々木の発表は、日本が蓄積してきた安全保障分野の知見を台湾及び同志国

と共有するものであり、日台間のサイバー安全保障協力の深化を象徴する事例であった。

さらに会議全体を通じて、サイバー防衛はもはや技術的課題ではなく、国家レジリエンス

、経済安全保障及びハイブリッド戦対応を含む総合安全保障の問題として認識されている

ことが明確となった。今後、台湾海峡情勢が不安定化する中で、本会議で示された国際共

同防衛及びレジリエンス構築の枠組みは、日本の安全保障政策にとっても重要な示唆を与

えるものと考えられる



 
 
 

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